明日は成人式。
生まれ落ちてから20年経った人たちが地域ごと一つの所に集まり、おめでとうとか言われに、久しぶりとか言いに行く一生に一度のイベントだ。
この日のために女の子は気合を入れる。少なくとも僕の周りの女の子は半年前から鼻息を荒くして血走った目をキョロキョロさせていた。振袖をレンタルし、髪をセットしてもらい、見違えるほどキレイになるためだ。
男はそんなキレイな女の子達を見るために20年生きてきたと言ってもいい。僕もそんな男の一人である。
そんな男だってそれなりに気合をいれる、人もいる。
僕もそれなりにと思いスーツを仕立てた。髪を染めた(こじ付けです♪テヘッ)。
スーツをカッコ悪く着るのだけは嫌なので、今日は靴を磨き、タイピンも父ちゃんから借りた。ボタンダウンのワイシャツもパリパリだ。カフスはまだ悩んでいる。
特に楽しみにしてたわけでもないし、気合満々だったわけでもないが、一つ凝りだしちゃうとあれもこれもとなってしまうのサ。
1ヶ月剃らなくても誰も気づいてくれやしない髭を剃り自己満足。眉毛を整えるために久しぶりに鏡の前に立ち孤軍奮闘。
眉毛をじっと見つめきれいになぁれきれいになぁれやっていると、意味が分からなくなってきた。
名づけられていない毛だってあるのにどうして「眉毛」なんて立派な名前をもらえたの?どうしてこんなところに急に毛が生えているの?アーチなんか描いちゃってこれがベストな形なの?ホントにベスト?ねぇ?
果たしてバカらしくなり、鏡の前から立ち去った僕は、明日朝9時に集合する地元の集まりに備え布団を敷く。なんだかんだ楽しみなのカモ。 逆太郎(おやすっ)